良品計画 - GOOD CYCLE PROJECT - 淺沼組
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探究しよう、
建設の未来。

GOOD CYCLE TALK

淺沼組の若手社員が、様々な分野のGOOD CYCLEの実践者に体当たり取材。循環をテーマにリサーチし、若手社員が感じた疑問や質問、率直な意見をぶつけながら、これからの建設について探求する連載です。

サステナブルな取組みをしないと、社会から退場にさせられる未来が来る

GOOD CYCLE TALK #04

増子晋(良品計画 衣服・雑貨部)

淺沼組の若手社員たちがさまざまな分野の専門家に会いに行き、対話を通して未来の「良い循環」のあり方を考えていく「GOOD CYCLE TALK」。今回は、無印良品が展開するReMUJIというプロジェクトの中心人物の増子晋(ましこすすむ)さんにオンラインでお話を伺った。


良品計画 増子晋さん


淺沼組 畠山・岡崎


ReMUJIは、無印良品が展開しているリサイクル・リユースプロジェクト。


無印良品が販売してきた服やタオル、カバー類の古くなったものを回収して、染め直して販売している。日本に古くからある染め直しや、刺し子による補強などの知恵を活かし実施しているプロジェクトだ。


昨年2021年9月には東京・新宿の大規模2店「MUJI 新宿」「無印良品 新宿」をリニューアルした際、「MUJI 新宿」は環境や社会問題にフォーカスした店舗へと大胆に変化し、同店限定で、回収した服を洗いなおして再販する「洗いなおした服」やつなぎ合わせてリメイクする「つながる服」の販売も始まった。無印良品の本気を感じる展開だ。


 


マスプロダクツを生産している企業が、循環を考える時に抱えるジレンマは、建設会社である淺沼組が抱える問題にも通じるものがある。ReMUJIの取り組みは、GOOD CYCLE PROJECTを推進していく上でのヒントがあるのではないだろうか?


アップサイクルやリサイクルより本質的なこと

最初に増子さんのReMUJIでの役割を教えていただけますか?


増子:

良品計画で衣服雑貨部に素材開発担当というのがあるのですが、そちらでReMUJIという「洋服を回収して循環させていく」という取組みをしております。無印良品は、衣料品だけに限らず、生活、食品と、あらゆるものを扱ってはいるのですが、私が担当しているのは、衣服雑貨の、特に繊維のリユース、リサイクルというところをやっています。今私たちがやっている取組みについてきちんと紹介させていただければと思います。


畠山:

よろしくお願いいたします。早速ですが、まず一つ目に、最初にReMUJIの取組みの全体像についてお聞かせいただけますか? 特にスタートするきっかけ、想定されている目標、ゴールのイメージなどについてお聞きしたいです。


増子:

はい。無印良品として、作ることだけではなくて、作ったものをどうしていくかを考えていた中で、2009年に服をエネルギーに変える企業連携プロジェクトに実験段階から参加し、衣服の回収をスタートしています。2009年にまずは服の回収を一部店舗で行い、そこから何回かの実験を経て2010年に正式に事業化したFUKU-FUKU(ふくふく)プロジェクト*とも連動しながら、本格的に繊維製品の回収が始まりました。


*現BRINGプロジェクト


無印良品として作るだけじゃなく、その後のことを考えてしていたのですね。実際に服を回収して気づいたことはありましたか?


増子:

そうですね。回収した服をひとつひとつ確認していった時に、「まだまだ着ることができる服があるな」と感じました。そして、元々日本には古くから、繊維、布を染め直したり、組み合わせたり、刺し子をして補強をしたりしながら、大事に最後まで繊維を扱うという文化があります。そこで我々は、回収した服を染め直しという手法を使って再商品化していこうと、ReMUJIという取組みを2015年からスタートをしました。自社製品の回収と、その回収したものを、一番環境負荷がかからないリユースという形で取り組んでいるものになります。


循環にはいろいろな方法があるなかで、最も環境負荷がかからない方法としてリユースということを押し進めているということですね。


増子:

はい。社会の課題をどう解決していくかという視点で考えていく、ということをしっかりやっていきたいというのが前提になります。しかしそうはいっても、皆さんのいらなくなった服はそんないい状態で戻ってくるものばかりではないです。その部分に関しては、原料化してリサイクルしていこうだとか、企業連携プロジェクトと連動しながら、最後まで責任ある処理ができるように今進めています。


状況を見極めて、適切な処理をしていくと。


増子:

はい。しかし、元々無印良品としては、アップサイクルやリサイクルに対処する以前に、商品開発の段階でどうやって長くて丈夫でお客さまに愛着を持ってもらえるものをつくるかというのが一番の本質的な課題だと考えています。


それはReMUJIだけじゃなく、会社全体として問題に考えているということですか。


増子:

無印良品は「第二創業」として新たな方針を掲げています。創業当時からある考えですが、社会や人の役に立つという大方針の下、提供する商品やサービスや活動を通じて「資源循環型」、それから「自然共生型の社会」、「持続可能な社会」の実現に貢献していこうと事業を行っています。提供する全ての商品やサービス、活動の全ライフサイクルにわたって、地球環境負荷の低減や個人の尊重に努めていきたいと考えているんです。


畠山:

第二創業というのは、そのコンセプトが会社として発表されて、みんなが共有しているという感じなのですか?


増子:

そうですね。これから先の2030年に向けて、我々が目指す立ち位置といいますか、社会に対してどういうことを取り組んでいく、会社としてどういう方向で進んでくかという、そういった大きなストーリー、戦略になります。


短期間のコストを考えても仕方ない

畠山:

社会や人の役に立つという会社の指針ということですが、我々も名古屋支店の改修をもとに、このGOOD CYCLE PROJECTなど持続可能な取り組みをしていっています。しかし一方で、利益とサステナブルな取組みというのはどうしても相反するところが出てくると感じています。私は営業なのですが、お客様はコストを抑えていきたいというのが大前提であって、環境に対してそこまで求めているわけではない。SDGsの取組みを前向きにやっている大企業であれば、やはりコストは大事です。そうした矛盾を今抱えているような状況ではあるのですが、増子さんはどういうふうに捉えておられますでしょうか。


増子:

これは難しい問題で、ReMUJIという取組み一つだけ見ると、当然回収した洋服を選別するところから、物流コストなどいろいろな経費がかかっていて「無償で回収したんだから安くできるよね?」というのものではないです。むしろ新しくものをつくるよりもコストがかかっていたりします。


ただ良品計画という会社は、ReMUJIどうこうではなく、創業当時から資源を無駄にしないという考えのもと、商品開発をし続けているんですね。ですから、例えば素材の選択、工程の点検、包装の簡略化という、創業当時の大きい考え方というのが柱になっています。衣服、特に素材の選択なら、生産地まで足を運んで、実際に生産する人たちと交流をしながら、自然環境に配慮した素材を使うということにこだわってやってきています。工程も無駄を省いて、少しでも環境負荷もかからないように、値段もお安くできるように。包装でも無駄を省いて簡略化をしていくとか、あらゆる面で資源を無駄にしないという考え方が最初から根付いている会社なのかなと思います。


—そういった意味では会社として矛盾はないんですね。


増子:

話はちょっとそれるんですけど、衣料品に使用している綿は、今は全てオーガニックコットンを使用してます。


オーガニックコットンというのは、3年間化学薬品を使用しない、農薬を使用しない土地で栽培された綿のことをいいます。このことによって、綿を栽培する生産者の健康被害だとか、地球環境にも配慮をしたいという思いから、オーガニックコットンを使用しているという、けっこう稀な会社なんです。


それはコストなどを考えると、だいぶ振り切った考え方ですね。


増子:

オーガニックコットンは、世界の綿の生産量のわずか1パーセント程度なんです。この希少性の高い原料を無駄にしないとようにしています。洋服などを作る工程では、生地をつくって縫い合わせていく時に、周りに端材が出るんです。この裁断したときに出るクズみたいなものをそのまま捨てていたら、それももったいないということで、そういった端材から出たものをもう1回反毛して、糸にして、生地にして、ものをつくるだとか、再利用していくという取組みも行っています。ポストコンシューマではなくて、プレコンシューマの取組みというのも、ずっと昔からやっているという、そういう特異な会社になると思います。


そこまでやっているとは知りませんでした。


増子:

なかなかそういうアピールが苦手な会社だと思うんですけど、創業当初からの方針です。ですから、あまりReMUJIに対して、社内の中では特別なことをやっていると思われてはいないんです。あくまで取り組みのひとつで、利益がどうという観点よりも、やるべきこととして捉えられています。


とはいえ、赤字続きだと多少は困ったりしませんか?


増子:

赤字になったら、いいことをやっていても続かないので会社から、なんでそんなことをやってるんだって、言われる可能性もあります。ですから赤字にはならないように、いろいろな努力をしながら、コストを下げたりしてやっています。ただ、そこで大きくもうけようという考えはないです。どちらかというとReMUJIを通して、無印良品のものづくりの考え方や商品に対して、無印良品を信頼していただいて、安心して買い物を楽しんでいただきたいと思ってます。以前に比べてお客さまの環境意識が非常に高まっている中で、情報発信の仕方を変えるだけでも、ReMUJIの商品に賛同していただく人が増え、まだまだ大きく伸びる可能性はあるんじゃないのかなと思っています。利益というところでは、おっしゃるとおり、なかなか難しいんですけども。


事業トータルで見れば会社にとってプラスになっているという判断なんですね。長期的な視点が必要ですね。


増子:

短期的にはコストが非常にかかっていますが、今後、技術的に発展すると思っています。しかし、また違った視点に立ちますと、このようなサステナブルな取組みをやっていかないと社会から退場にさせられる未来になりつつあると思います。そういった意味では、早めに企業努力して、どうコストを抑えて利益を出すか努力していかなければならないし、それが将来の差別化に繋がると思っています。ちょっときれいごとかもしれませんが。


畠山:

ありがとうございます。我々は案件単体で物事を考えてしまって、その一つの案件で利益を出すようにというのをどうしても考えがちなのですが、全体として考えなきゃいけないのかなというのは今すごくお話を聞いて感じました。


増子:

最初から完璧な取組みなんてできないですし、技術はどんどん発達していきます。ですから今できることから始めていけばどんどん発達していくものだと思います。今自分たちができる取組みはなんなのか、そこから少しずつやっていく。ただし、赤字は出さない最低限の状態をキープするみたいな、そんな感じかなとは、個人的には思っています。


誰かからの提案ではなく、社員みんながこれから2030年に向けてどういう会社になっていくべきかと考えた

岡崎:

創業からのサステナブルな取組みの経緯などを伺いました。それを踏まえて、今回新宿にReMUJIの活動をさらに拡大して、環境問題を見据えた品ぞろえやサービスに特化した店舗にリニューアルしたのは何故でしょうか?


増子:

まず新宿には、2つの大きな店舗が100メートルくらいしか離れてないところにあります。昨年秋に2店舗同時に改装してオープンする際に、それぞれ地域、社会に役立つために、どのようなコンセプトの店舗にするか考えました。そこで、「無印良品 新宿」はより生活者に寄り添った店舗に、「MUJI 新宿」はサステナブルな取り組みを強化する店舗にしました。すごく近距離にあるので、コンセプトを明確に変えて、テーマを決めて、特色を出して、改装をしたというのが経緯になります。


2店舗の棲み分けについて提言されたりしたんですか?


増子:

我々衣服雑貨部のほうから、ReMUJIの特別な店舗を作りたいだとか、特別こういうお店をコンセプトで出していきましょう、みたいな話はしていないです。先ほど言った第二創業のコンセプトなどから、社員みんなで、これから2030年に向けてどういう会社になっていくべきかと考えた中で、販売部のほうでそういったお店をきちんとつくりたいという考えがありできたと僕は認識をしています。


岡崎:

今回新宿にサステナブルに特化した店舗を出したことに対する反応はいかがでしょう? 他の店舗さんでもやりたいとか、お客さんの反応、社内の反応というのはいかがでしょう。


増子:

まず社内の反応としては、特別どうこうというのはなく、ReMUJIの考え方が体現されているお店が新宿地区にできたと。この店舗は、サステナブルな意味での旗艦店という位置付けです。


他の店舗に関してですが、これから地域の津々浦々の生活圏に無印良品が出店していくという中で、ReMUJI、リユース、リサイクルという取組みに関しては、各地域の店長陣も、前のめりでと言ったら大げさかもしれないですけど、やりたいというお声はたくさんあります。徐々に新店や、改装をするタイミングに合わせてReMUJIを取扱う店舗が増えていっているという状況になります。


結構な勢いで増えているんですね


増子:

店舗数の拡大を重視するのではなく、考え方を根付かせていきたいという思いはあります。単純にものを売るというわけではなくて、ものを大事に使う、長く大事に使うという、その考え方とか取組みを、その地域の方と一緒になって考えて進めていきたいというのが、ReMUJI本来の本質的な意味になります。


お客さまの反応はまちまちですね。「新宿」というターミナル駅のお店なので、近辺だけでなく、いろいろなところからお買い物に来てくださっています。リユース品を買うか新しいものを買うのかは、お客さま個人個人の判断になりますので、私たちがしなくてはいけないことは、お客さまに対する情報発信や案内ということになると思います。


岡崎:

ではサステナブルな商品に対して「価値がある」という認識はまだ薄いなと感じる部分が正直多いですか?


増子:

いえ、若い世代の方々、私にも高校生の娘がいるのですが、その世代ではSDGsみたいなものはもう当たり前の言葉になっているんですね。自分たちがこれから生きていく地球がどういう環境になっていくのかというのは、たぶん我々の世代以上に関心が高いとは思うんです。そういう意味では、反応が薄いというよりも、世間にあるアップサイクルしたものって、非常に実は高単価なものが多いんです。


ああ、環境意識が高くても購入まで至らない。


増子:

ReMUJIに「つながる服」という商品があります。これはお客さまの不要になった服を改修して、解体して、他の服と組み合わせて、もう一回新しいサイズ感、新しい価値を作って次の人につなげるという考えで作られているんですね。


ある意味、一点物なんですね。


増子:

そうです。アップサイクルの製品ってお金をかければいくらでもいろいろなことが実はできるんです。でも、そこを追求すると普通の人には手に届かない価格になってしまうというのが、一つデメリットとしてあります。環境によい行いに自分も参加したいと思っていても、そのリメイクされたシャツが1万いくらとなると、例えば我々の新品のシャツが1,990円とかで売ってたら、そっち買おうかなってなっちゃうと思うんです。


環境にいいものを選びたい気持ちと、実際に選ぶことができるかは別問題になっている。


増子:

ですから無印良品は、アップサイクルするときも、元々あるレギュラー品との価格差を意識して、お客さまがそういう意識を持ったときに気軽に参加できるくらいの価格にして、一緒になって取組みを支持してもらう体制にしなきゃいけないなというふうには、個人的には思っています。ReMUJIの「染めなおした服」は1,990円で売っています。古着だけど、新しく染め直されていて、状態としては問題ないから、じゃあ新しいのじゃなくて、私こっち買ってみようかなと、そんなふうに思ってもらえたらと思っています。


質問に戻りますと、お客さまの関心度が低いとは感じていません。特に新宿店にある回収ボックスがあって「いらない洋服があったらお持ちください」というのをやっているんですけど、普通のお店に比べると非常に多くの洋服をお持ちになっていただけています。そういう意味では、共感はされているのかなと考えています。


畠山:

ReMUJIの取組みに対して、会社全体として積極的だということが理解できました。うちの場合は、逆で、保守的というか、新しい取り組みに対して構えてしまうところがあります。このGood Cycle Projectに関しても社内に浸透させられていないという悩ましい状況があります。ReMUJIの取組みが今の形になる以前に、なにか課題のようなもの、障害となるようなものはなかったのでしょうか?


増子:

会社の中に大きな障害というのはありません。社会に役に立つことをやる、無駄にしない商品開発というのは無印良品の人たちの血になっている、アイデンティティみたいなものになっているんですね。とはいえ、実際にReMUJIを始めた時は「旗艦店」と呼ばれるような大きな店舗だけで始めていました。スペースの問題もあるので、6-7店舗からですね。それが拡げられてきたのは、社会情勢というかマーケットが追いついてきた。これまで地道にやってきたことが世間でクローズアップされるようになってきたという状況だと思います。


—世間一般の意識も変わってきたと。


増子:

ペットボトルの回収も普通のことになってきましたし、資源を循環させましょうという声が自然に聞こえてくるようになりました。そうした変化を現場のメンバーも肌感覚で感じてるので、自分たちの店舗にもスペースと機会があったらやっていきたいという思いはあるのかと思っています。


もちろん利益という面からみると、短期的には厳しいかもしれないですが、長期的にみたときの危機感があります。ここから5年先、10年先がどういう社会になっているのか、今すべきことは何なのか。そういったことを、みんなで話してあっていくことがとても大事なのかなという気がしています。


岡崎:

今後の展開についてですが、もっとこうしていきたい、発展させていきたいということがありましたらお聞きしたいです。


増子:

今のReMUJIは「染めなおした服」という定義をしているんですが、もっといろいろな「Re」の取組みというのがあります。Reに関わる広義の意味での取組みをもっと進めていきたいなと思っています。


具体的になにかありますか?


増子:

例えば洋服でも、今は無印良品の服のみしか回収しませんとなっているんです。でも洋服を断捨離して整理しようかなというときに、いる/いらないを判断しても、これ無印良品のだから無印良品に持っていこうというのは行動としては難しいのかなと思っているんです。生活者の視点で考えると、服の回収は、別に無印良品のものに限る必要はありません。集めてから社内で分別すればいい。


あー、お客さんから見たら確かにそうですね。


増子:

しかしそこにはコストの問題があり、行政と組んでやるとか、リサイクル業者さんと組んでやるなどしている店舗もあります。将来的には社内でやりたいのだけれど、今はまずそうことをやるべきか? などについて常に議論しています。


コスト面以外にも問題はありますか?


増子:

回収した洋服にはリユース、リサイクルできないものがあります。まず状態が悪いものはリユースできなくなるので、リサイクルに回します。リサイクルするときには「原料にする」ようにします。コットンの衣料品だったらコットンの原料に戻す。ウールならウール。でも洋服って綿100%とかウール100%じゃなくて、合成繊維が混じっているものも多いのです。そうなると原料化が難しくなるので、今はそういったものはBRINGと連動して、車の内装材に使ったりしているんですが。


それも本来はリサイクルしたいと。


増子:

そうなんですが、それを商品にして販売するとなると、品質面で安定しないので難しいんですね。ですので、そのような使えない繊維を社内の什器や備品に使うことはすぐにでもやれればと考えたりしています。お客さまのお手元に渡るものでなければ、お金の面だけクリアできれば進められると思いますので。


畠山:

こういうことに対しての他社との差別化ということはどのようにお考えですか。我々のような建設会社は、同じような会社さんが何十社もいるような形になっていて、そういったところと、どういった差別化を図るのかというのは、日々考えているのですが。


増子:

差別化ってすごい難しい問題ですね。我々も、他社の取り組みに対してアンテナを張り巡らせながら、ここはこんなことやっているのか、とか、協業できないか、とかいろいろ話しています。ただ、環境のことに関して言うと、競争というよりは、社会全体でやるべきこと、社会の課題なのかなというふうに捉えています。1社でできることには限界があります。一緒にできることがあれば、一緒に進められればいい。繊維業は多大なエネルギーを消費しますし、CO2を排出します。どちらかというと繊維業界全体が、地球的な規模で見たときの課題だというふうに捉えています。


その視点に立てば、競合他社との差別化ではなく、一緒により良い社会を作っていくというのがまず第一です。そのうえで特色が出せるのであればもちろん出していきたいですね。


最後に、増子さんにとって「よい循環」とはなんですか?


増子:

よい循環。ここまで話してきたことと、あんまり変わらないと思うんですけど「本当の意味での持続可能な取組み」だと思うんですよね。一過性で、単発で花火を打ち上げてやるということは、やろうと思えばいくらでもできます。それをきちんと「持続してやる」ということが、とても重要です。持続するためには、仕組みも、考え方も、みんなと共有しないとなかなか進められない。「循環」という言葉は「持続」という意味にかなり近い言葉だと思いますけれども、そこがすごく大事なポイントなのかなというふうには思っています。


畠山:

今まで目の前の案件案件で見ていたというところが、社会全体でという、視野を広げるきっかけになれたかなと思っています。今日はとてもいいお話を聞けたと思っています。ありがとうございました。


岡崎:

以前このコーナーで、Think the Earthの上田さんにお話を聞かせていただいたんですけど、そのときも要所要所で出てきたのが、「こうした取り組みは社会全体としてやるべきこと」に変わっているというお話でした。今回もやっぱり「やるべきこととして、みんなの意識が変わってきている」ということと受け止めました。自分たちがこのプロジェクトを進める上でも参考にしていきたいと思います。ありがとうございました。


取材を終えて

良品計画さんがReMUJIの活動等を通して生産した製品を最後まで責任ある処理を行ってきたように、建設業においても建設することがゴールではなく、建設された後のことも考えて最後まで責任を持つために出来ることをもっと考えていかなければいけないと感じました。それが一過性のもので終わるのでは意味がなく、持続可能な取り組みとしていくためにには会社全体としての課題もまだまだ多いと思いますが、まずはひとりひとりがそういった取り組みを「やるべきこと」と捉えられるような意識改革が必要であると思いました。(淺沼組 岡崎)

店舗撮影:後藤武浩