宇都宮駅前に建つ1987年竣工の旧チサンホテル宇都宮を、既存建物を活かした1棟全体の改修を行い、2026年1月に「THE KNOT UTSUNOMIYA」としてリニューアルオープンしました。淺沼組は外壁の補修や、客室を含む全フロアの内装解体と設備機器を更新。さらに、工事の過程において関係者間で対話を重ねながら、2階部分に環境配慮の視点を取り入れた内装仕上げを施しています。


2階の大宴会場・会議室・ロビー(チェックインカウンター)・トイレでは、壁に「ソイル左官」を採用。ソイル左官とは、ドイツ製の天然塗料「ソイルペイント」に、関東圏で発生した建設発生土を再資源化した土と砂を混ぜた材料を用いた左官仕上げのことです。配合を調整しながら検討を重ね、ダークグレーを基調とした品のある落ち着いたトーンで空間全体をまとめています。







また共用部のトイレでは、既存タイルを撤去せず、目地をモルタルで埋めた上から左官を施すことで、廃材の発生を抑えています。素材の選定だけでなく、施工方法を見直すことで、できるだけ廃棄を出さない工夫を実践しています。


解体して新築するのではなく、既存建物を活かして改修することは廃棄物や建設時のCO₂排出量を抑えるとともに、長年その場所に蓄積されてきた建物の記憶や価値を次の時代へとつないでいくことにつながります。そうした建物の資産性に向き合いながら、現代において求められる機能や使われ方を更新し、素材の選定や施工方法に環境配慮の視点を組み込むことで、建物は単なる長寿命化にとどまらず、この先も使い継がれる建物へと、その存在価値を高めていくと考えます。

淺沼組が進める環境配慮型の建設のあり方は、躯体や建築といった領域にとどまらず、どの素材を選び、どのような工法を採用するのかといった一つ一つの判断を、空間の質と環境負荷の両面から見つめ直すことにあると考えます。今回のプロジェクトでは、躯体工事に加えて内装仕上げの一部にも踏み込んだ提案を行い、素材の選定や施工の工夫を通じてホテルの再生に環境配慮の視点を具体的に反映できたことが大きな特徴のひとつとなりました。
2026.2.25更新
施設概要
名称:THE KNOT UTSUNOMIYA
所在地:栃木県宇都宮市
竣工年:2025年12月
事業主:いちご地所株式会社
発注者:さつきホールディングス有限会社
PM:株式会社トラプオリティ
設計:株式会社翔設計
インテリアデザイン:有限会社ルームス
改修面積:敷地面積 1,610.18㎡ 延床面積 9,686.94㎡
協力会社:左官 施工協力 株式会社 KS AG
撮影:鈴木淳平