自然素材を用いて、サステナブルなリニューアルを実現。GOOD CYCLE BUILDING001 淺沼組名古屋支店改修PJ

淺沼組が推進する「人間にも地球にも良い循環」を生むことを目指したリニューアル事業『ReQuality』のフラッグシップとして、築30年の淺沼組名古屋支店を改修したプロジェクト。既存の躯体を活用し、新たに加える素材には可能な限り土や木といった自然素材を採用し、「自然循環」を空間へ落とし込んだデザインに取り組みました。

階エントランスホール。既存の壁や2階床スラブを取り払い、吹き抜けとした。奥の増築した階段室より自然光を取り入れている
ラス張りであったファサードを一新し、ベランダ空間を創出。約130種類もの植物を混植し、季節の変化を楽しめる

淺沼組が手がける愛知県内の建設現場から発生した建設発生土(約12トン)を活用し、その塗りの工程にユーザーである淺沼組の社員も参加しました(約120名の参加によるワークショップを実施)。建物を利用するひとりひとりが、考え、創り、人と建築との関係性に思いを巡らせることで、建物への愛着に結びつくものと考えます。そして、社員が「長くつかう、大事につかう、楽しくつかう」を意識することで、サーキュラーエコノミー(循環利用による経済性の追求)のモデルを示しました。

淺沼組技術研究所において開発した、自然素材のみを用いた「還土ブロック」
淺沼組の建設現場で発生した建設残土を活用し、社員・関係者の手で土壁を塗るワークショップを実施

また、建物の内外装や建具、家具に使用している木材には、淺沼組と長年のつながりがあり、持続可能な森林管理を実施している奈良県吉野郡の木材を採用。資源を余すところなく使い切るため、木材の端材は家具やプロダクトに活用しました。 さらに、既存建物で使用されていた石材は内装材として再利用し、その他は細かく砕いて家具の素材に転用したり、廃プラスチックを原料とした家具やカーテンの制作したり、通常は廃棄される素材を資源として活用する取り組みも行いました。

2階ラウンジ。木材の端材や建設残土を用いて製作した家具などが並ぶ
執務室には吉野杉をふんだんに使用し、自然の光、風や緑を感じながら働く環境をつくりだしている
階会議室。天井を開口部に向けて上げることで外光を取り入れている。廃プラスチックを用いて製作した会議室テーブルを使用
8階イベントホール。社員が集まりイベントを催すことができるスペースを設け、社内外の情報発信の場として活用している

プロジェクトの統括責任者である淺沼組技術研究所・所長(当時)の石原誠一郎によるコメント:
建設業の世の中の流れは、乾式工法と言って、工場で作られた部材を現場で組み立てるということが一般的となっています。超高層ビルでは高度なシステム化が進み、ロボットの利用など、新しい技術が次々と生み出されています。ただ、その一方で、今あるものをいかに活かすかを考えることも大切だと考えています。高層ビルとはまた違った、中規模の建物においては、時代の流れとは別に、「ものづくり」というものをもう一度取り戻すことで、環境や人にも良い価値を新たに生み出せるのではないかと考えました。土や木といった自然素材を使用することは、復古的になるわけではなく、今の時代だからこそできる、表現の新たな可能性になるのではないかと思っています。

既存躯体の活用と自然素材の使用により、一般的な仕上げ材料で建て直す場合と比較して、CO2排出量を約85%削減。エネルギー消費量を国の基準値の50%以下に抑えることでZEB Readyを取得しました。さらに、オフィスのウェルネス化により、WELL認証GOLDを取得しています。

「GOOD CYCLE BUILDONG 001 淺沼組名古屋支店」の主な評価・受賞歴
国内外で17個以上の賞等を獲得。主なものは下記の通り

・公益社団法人 日本デザイン振興会「グッドデザイン賞」(2022年)BEST 100 
・一般社団法人建築環境・省エネルギー機構「第1回SDGs建築賞(旧サステナブル建築賞)」(2022年)住宅・建築SDGs推進センター理事長賞 
・公益社団法人 日本建築家協会「JIA優秀建築選2022」選出(100選) 
・中部建築賞協議会「第54回中部建築賞」(2022)入選 
・一般社団法人 建築設備総合協会「第21回環境・設備デザイン賞」建築・設備統合デザイン部門 最優秀賞 
・一般社団法人 日本ウッドデザイン協会「ウッドデザイン賞」(2023) 
・一般社団法人 建築設備技術者協会「カーボンニュートラル賞」 中部支部奨励賞(2023)
・公益社団法人 ロングライフビル推進協会「第33回BELCA賞」(2023)ベストリフォーム部門 
・公益社団法人 日本建築家協会「環境建築賞」(2023)優秀賞 
・一般社団法人 日本建築学会「作品選奨」(2024)

施設概要
名称:淺沼組名古屋支店
所在地:愛知県名古屋市中村区名駅南3-3-44
竣工年月:2021年9月
設計:川島範久建築設計事務所+淺沼組一級建築士事務所
構造・規模:鉄骨造/ 地下1階 地上8階/延床2779.64㎡

プロジェクトストーリー
https://note.com/asanumagoodcycle
Instagram
https://www.instagram.com/good_cycle_project/

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